2003年

ーーー10/7ーーー クッションCat

 

 アームチェアCATのクッション座バージョンが完成した。このバージョンを作ることになった経緯は、マルタケ7/8版を参照願いたい。完成したのは、実は8月の上旬であった。思いのほか早く出来たのは、もともと編み座バージョンの図面が準備されていたことによる。完成してから現在までの間、私が食卓で使ってきた。座り心地と耐久性のチェック、つまり試用期間である。耐久性のチェックとしては、2ケ月程度では短か過ぎるが、もともと編み座バージョンでの実績があり、こちらの方がより強度的に強い構造なので、言わば「念のため」である。座り心地の方は、最低30分間座らなければ分からないと言われているが、毎日朝昼晩、長いときは2時間以上座り続けて2ケ月、私にとっては極めて快適であった。もう、他の椅子には座れないといった感じである。

 この写真のものは、座に合成皮革が張ってある。合成皮革にもいろいろなグレードがあるが、これは最高級のものであり、本物の皮よりも性能が良いとのことであった。他に、布地を張ることも可能である。布地にはいろいろな柄があり、自分の趣味に合わせて選ぶのは楽しそうだ。合成皮革にも色のバリエーションがある。汚れに強いという点では、布地よりも合成皮革の方が有利ではある。

 これまでに高い評判を得てきた編み座バージョンと比べてどうかと言われれば、それは善し悪しの問題ではなく、好みによる選択であろう。こちらの方がポッチャリとした印象である。太めの猫と言ったところか。自然素材にこだわるなら、編み座に軍配があがるだろう。場所を選ばない使い回しという点では、こちらの方に分があるか。ともかく、自信の品物がまた一つ増えたのは嬉しいことである。 



ーーー10/14ーーー インターネットでヒット 

 このホームページを立ち上げたのが今年の4月末。およそ半年後のつい最近になって、ようやくYahooやGoogleの検索に乗るようになった。キーワード「木工家具」、「手作り木工家具」、「大竹工房」などでヒットする。これで広く世の中に向けて、情報を発信できるようになった。まことに嬉しく、また一層張り合いが感じられる。

 数年前ならいざ知らず、最近は検索に乗ることがなかなか大変だと聞いている。それだけ世の中にサイトが多くなったということだろう。検索に乗ることをギブアップする人すらいるそうだ。検索に関する指南書のようなものも、発売されている。そんな状況の中、私の今回の成功には、京都のK氏のお力添えが大きいように思う。

 K氏は、私のパソコンの師匠の一人である。数年前に、インターネットのオークションで知り合い、それ以来お付き合いをいただいている。パソコン道20年というから、パソコンの歴史と共に生きて来たような人と言えよう。氏はパソコンの指導に関し、とても親身かつ熱心であり、ときに過剰とも思える情熱で私を導いてくれた。今回の件に関しても、お知り合いのパソコン仲間と連絡を取り、いろいろやってくれたようである。真に有り難いことだと、感謝している。

 氏はMacを使っておられるので(私もMacである)、Macユーザーの方は氏のホームページをご覧になると良いだろう。私には何のことやら分からない情報が、いろいろ掲示されている。アドレスは、
http://www.kinet-tv.ne.jp/~n_kawata/
 


ーーー10/21ーーー リピートのたんす

 先日、一台のチェスト・オブ・ドロワーズ(引き出したんす)の組み立てが終了し、塗装に入った。ご注文主は、1991年に私が木工家として最初の品物をお納めした方である。今回の品物は、その12年前のものと全く同じもの、そういうご希望であった。もともとベビーたんすとして納入したのだが、下のお子さんが大きくなったので、お兄さんと同じたんすを作ってあげることにしたとのこと。

 椅子などはもともと同じ図面で繰り返し作ることを前提にしているから、リピートの注文があっても不思議ではないし、驚きもしない。しかし、「箱もの」でリピート、しかも同じ注文主からというのは、私にとって初めてのことである。正直なところ、当初はあまり気のりがしない仕事に感じられた。新しい要素が無いからである。その一方、既に図面があるのでラクだとは思った。

 実際に製作に入ると、これはなかなか新鮮な体験であった。同じ図面を使って、外見は全く同じものを作っても、そのプロセスには12年間の経験の差がある。前作の場合は「上手く出来るだろうか」という世界であったが、今回は「上手く出来て当たり前」の世界になっている。それだけ技術も技能も進歩したのだ。昔は四苦八苦でやったことが、現在では頭に描いた通りにスルスルと運ぶ。作業の安定感が向上したし、能率も良くなった。その12年間の隔たりを一つひとつ確認することが、新鮮であり、また喜ばしかった。
 
 
 
ーーー10/28ーーー E・トーマ氏とひょうたん

「新月の木」に関するエルヴィン・ト−マ氏を迎えてのイベントに参加したことは、9/23のマルタケに述べた。最近になって、同行した友人から写真が届いた。これは泊まった民宿におけるトーマ氏ご一行と私の歓談のシーンである。私は、その前の週に八ヶ岳山麓の原村でト−マ氏と会っているので、会津で再会するときは何かプレゼントを差し上げようと思った。写真の中でトーマ氏が手にしているものがそれである。これは「ひょうたん」である。私の息子は一時期ひょうたんの栽培に熱心であった。現在でもその当時収穫したひょうたんがいくつか残っている。海外には、くびれのある、いわゆる「ひょうたん形」のひょうたんは無いと、息子から聞いていた。それなら日本の土産として相応しいと考えた。そのままでは芸が無いと思い、絵の具で赤白赤の三段模様に色を付けた。オーストリアの国旗の色である。

 トーマ氏は、ひょうたんの形を見てたいへん驚き、興味を示された。私はついでに持参した「ひょうたんの栽培と加工」という本を見せた。その本の写真や図でもって、氏はひょうたんがどのような植物で、どのように利用されるのか、理解したようであった。

 写真では、トーマ氏がひょうたんの口から息を吹き込んでいる。氏は楽器の演奏が好きで、自分の工房から出た木材で作った笛を演奏して聞かせることがあるそうだ。ここでも氏は早速ひょうたんに息を入れて、どんな音が出るか試したのである。

 息子は常々、ひょうたんの形の美しさを褒め、これを世界に広めるべきだと言っていた。「ぼくの夢はエッフェル塔を鈴生りのひょうたんで飾ることだ」などと冗談も言っていた。その国際交流の夢が、ほんのわずかだけれど一歩前に出たようである。




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